情報時代にVanyatanが勝手に選りすぐった記事を無責任に解説・提言いたします。元は「利用価値のない日々の雑学」から分派致しました。


by vanyatan
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30

2006年 04月 03日 ( 1 )

大河ドラマ評

毎年NHKの大河ドラマに関しては他のドラマとは違い、特別の感慨をもって視聴している。今年も早1クールが過ぎたので、例年よりは少し遅いが、幾つかコメントしたい。

まず、テンポが不安定である。今回は、大河でも視聴率の過去の実績でも高い視聴率の取れる織豊時代。しかしながら、桶狭間から朝倉攻めまでを2ヵ月間は超ハイペース。その後、小谷城落城に1ヶ月かけるというペースは何とも、視聴者側の年次感覚を大きく狂わす。尤も、大河は、歴史好き視聴者が殆どだから、その辺りは考慮してくれるかもしれないが、新しい層を取り込むには、可也難のある設定だ。

f0058462_17224590.jpg原作から路線的には「おんな太閤記」なんだろうが、キャスティングをみると「利家とまつ」に近い。しかしその割りには、山内家の内情や夫婦関係の扱いが少なく、明確な制作ポリシーが伝わって来ない。つまり、原作に拠るところが大き過ぎて、それを大河という俎上できっちり仕上げきっていないのが例年に比べて面白みに欠けている部分なのである。シバリョウの作品は単に、人物や歴史的背景を追うだけでなく、その人物や人間関係において、現代(作品著述当時)の視野から氏の歴史観提言をしている。つまりは、山内一豊という人物がメーンなのでなく、このくらいの地位の武将から考えた当時の「体制観」なのであり、しかし、それをある意味で代行するためのストーリーテラーとして千代がある。その辺りの原作のレトリックを把握していないとこの物語はただの時代説明に終わってしまう。番組を見ると一豊がこの時代の重要局面にすべて関与していると錯覚してしまい、現実的に(というか、地理的にが正しい)そんなことは無理であり、しかし、一方で当時の一豊クラスの武将の「功名感」というのは、常に、どんな戦場にでも、何時でも赴くという心意気であることを小説では察しえるものの、やはり映像は、一番大事な部分を表現しきれない。これは脚本の力不足である。

もうひとつはいつも言うが時代考証。衣装考証の方は小泉清子さんが担当し、彼女の感覚は「利家とまつ」の時もそうだったが本当に斬新で、特に今回は千代の小袖が素敵。今後も楽しみである。これぞ大河である。しかし、歴史解釈に関しては、帰蝶の扱いがやはり気になり、原作執筆時以降の新解釈だが、姉妹ブログで書いた様に、ここは、脚本家の本領を発揮して欲しい。というか、小和田氏がついているのだから残念な気がする。大石の力量ではこの辺りの整合性をつけるのに、荷が重い?「功名が辻」を題材にするのなら完全に脚本家を間違えた。

一方で仲間由紀恵は、そもそもが代役であったが、良く頑張っていると思う。「ごくせん」の下手な演技しか知らなかったからどうなるかと思ったが、この役は上手い下手でなく、填まっている。ちょうど「利家とまつ」の松島奈々子のように、彼女もこの作品で全国区の女優として好感度アップは間違いないだろう。

しかし、大河おなじみのメンバーのそろい踏みで、正直、西田、香川、柄本、武田と出ているとだれが今回の秀吉役なんだか分からなくなる。これもまた、大河の特徴なのであるが・・・。
[PR]
by vanyatan | 2006-04-03 17:23 | エンターティメント